ITサービスマネージャ(SM):
情報システムを安定稼働させ、安全で信頼性の高いサービス提供を行うための諸管理を遂行する人材。
"サービス提供を行うための諸管理"
・資源管理
・インシデント管理
・ITサービス財務管理
・セキュリティ管理
・リリース管理
移行準備:
1. 運用テスト
新システムは、開発部門主体の単体テスト・結合テスト・システムテストを実施した後、運用部門主体の運用テストを実施する。
運用テストは、新システムが実運用に耐えうる信頼性・安定性・安全性・性能を保有しているかを検証する。
運用テストを通じて、運用部門は新システムを理解すると同時に、下記2,3の観点で、移行計画を策定するための情報を入手する。
2. 新システムの範囲
年次処理や例外処理にかかるプログラムも含めて全て移行されるのか?
移行データを作成する移行専用のプログラムや、
新システムとインタフェースを持つ他のシステムのために開発部門が想定していないプログラムの追加開発はないか?
新システムを本番稼働させる観点から、移行すべき新システムの範囲を確定する。
3. 移行データの範囲
(1)データの区分
新システムのデータ仕様を調査し、下記①〜③に区分する。
①現行システムのデータをそのまま利用できるもの
②新システム用に現行システムのデータを変換しなければならないもの
③新システムのために新たな入力が必要なもの
(2)移行方法の検討
現行システムのデータをそのまま利用できない(上記②③)について、次の点を調査する。
・現行データの媒体
・コード体系(EBCDIC,ASCII,EUCなど)、漢字コード体系、外字の取扱い
・データ量、更新タイミング(日次、週次、月次など)
・データ管理部門(販売部門、製造部門、経理部門など)
・データ移行ツール(簡易ユーティリティ、自社開発専用プログラム、コード変換ツール、画面入力ツールなど)
・データ移行後のチェック方法(手作業、チェックツール、ユーティリティによるトータルチェック・件数チェックなど)
移行データの調査が完了したら、各データ毎に移行方法・スケジュール・責任者などを一覧表にまとめる。
移行計画の策定:
1. 移行方式の種類
(1)一括移行方式(一斉移行方式)
・新システムへの移行を一時期に集中して行う方式。
・移行の負荷が小さく、手順も簡単だが失敗するリスクも大きい。
(2)拠点順次移行方式
・拠点毎に日程をずらして順次移行して行く方式。
・一括移行方式よりリスクは小さくなるが、
移行途中で新システムと旧システムを並行運用するため、負荷が増大する。
(3)パイロット移行方式
・拠点順次移行方式の変形。一部の拠点をパイロット(試行拠点)にし、
成功した場合に残りの全拠点を一斉移行する。
(4)サブシステム順次移行方式
・全拠点を一斉移行するが、全システムではなくサブシステム毎に移行する方式。
・移行作業中のトラブルの混乱が少ない。
対象サブシステムは他のサブシステムから独立しており、
インタフェースが少ないものに限定されるようにする。
2. 移行作業の洗い出し
・ハードウェア、OSの準備 ・電源工事 ・その他設備工事
・ネットワーク環境の整備 ・移行ツール開発
・データベースシステム等のミドルウェアの整備
・データ移行 ・開発アプリケーションプログラム移行
・ユーザ用操作マニュアル作成、配布
・ユーザの新システム教育研修
・運用要員用のオペレーションマニュアル作成、配布
・移行実施計画説明会 ・移行リハーサル
3. 本番移行日とスケジュール
(1)移行スケジュール策定時の注意点
・データ移行期間にはチェック期間も含める。
・予備日を設定する。
・移行リハーサルを行う。
・自社以外の関係者の日程にも考慮する。
・旧システムでサービスを継続出来るよう"切り戻し"のスケジュールも作成する。
(2)本番移行日の切替スケジュール策定時の注意点
・移行作業終了時刻から翌日のオンライン開始までに余裕時間を設ける。
・移行作業中に不足の事態が生じた場合、新システムへの移行を継続するか、旧システムへの"切り戻し"を行うかの最終判断時点をスケジュールに組み込む。
4. 要員計画と移行体制
スケジュールが確定したら各移行作業の担当を決定する。
・各移行作業の責任者・チーム編成・担当者を明らかにする。
・作業量と要員数のバランスを勘案する。
・移行実施説明会を開催し、関係者全員で移行作業分担を確認する。
・ユーザ部門には、新システムの教育研修場所、受講対象者、回数、日程を確認させる。
・運用マニュアルについて十分な作成期間と要員が確保できているかを確認する。
5. 本番稼働判断基準
(1)品質:テストでのバグ件数やそれを図表化した信頼度成長曲線の状態
(2)性能:期待されるレスポンスタイムやバッチ処理時間の達成度
(3)移行作業:移行計画の予定作業の進捗状況
(4)運用体制:本番運用をする組織・責任者・担当者の状態
(5)関連部門・関連組織への広報: 取引先・社内関連部門・消費者などステークホルダの新システムに対する意識・関心度合い
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